手漕ぎ水引
私達は日常生活を営む上で喜びにつけ悲しみにつけ、金品の贈答を行います。その品物やお金包みの大部分は水引で結ばれ、熨斗がつけられます。 「こんな粗相なものですが清潔で新しいものですどうぞ安心してお使い下さい」という意味がこめられています。水引の名前の由来は製法上から 名付けられたという説や作法からきているというものなどさまざまです。紙をこより状にした上から水糊を引き、乾燥する工程をくり返すことから 水引という製法説、チリや汚れを流し去り水洗いした清潔な品物と同じ意味をもたすため用いたのが作法説です。 いずれにしろ、水引をかければ一段と中味に重みを加え、お互いの心が交い合います。水引は古来からの美しい風習として、我が国にしっかり定着して 現在に至りました。
染
まず大きい巻紙和紙を2センチ程度の巾のテープ状に裁断、これに水分を与えて”より機”でよりを入れ更に強くもう一度より入れをして シンの強い紙糸にします。30米弱の長さに切った紙糸を約130本を帯を広げたように空地(はた場)に張り、クレー粉と布海苔(ふのり) を混ぜた糊を塗って白地を作りさらに赤・黒・黄などの染料で等間隔に染め上げたものを1.8米程度に裁断して出来上ります。この白地 を作る作業を”漕”と称し、工程で最もむずかしいもので長年の修行が必要とされます。
■水引の原料
- 原紙(巻取和紙)
- クレー粉(石の粉末、滑石)
- 布海苔(海草)
- 染料、米糊、カゼイン等
機械水引
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- 1.小巻に巻き替え
- 大巻の原紙から小巻に分けて巻き取る。巻き取りが終わったら裁断機に移す。
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- 2.裁断
- でき上がりの太さに合わせて幅を決め裁断する。
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- 3.紙をねじる
- 裁断した紙のロールを自動でねじる機械に取りつける。最初に紙を手でねじり合わせて小さな穴に通す。通す穴の大きさで水引きの太さが決まる。さらに機械で回転させて丈夫な紐をつくる。 こうしてできた紐は「つぐり」と呼ばれている。
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- 4.糊コーティング
- 「つぐり」をまとめて機械に送る。糊付け機により、「つぐり」にのりを塗る。次に温風で乾燥させる。
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- 5.染め
- 必要な長さだけ着色して色を分ける。
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- 6.乾燥と中貼
- 乾燥後、中張りをはる。
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- 7.切断
- 乾いたら必要な長さに切断する。
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- 8.束ねる
- 決められた本数で束ねれば2色の水引きができ上がる